田水沸く地球に立っている私
数式が紙から手に載る小暑かな
からんころん夢でも葭簀を買う我か
櫓から日傘を開く人を見る
地球ってちゃんと丸いよ梅筵
青梅や太陽系から叫び出せ
ツイートの連鎖反応夏の夜
ハダンキョと言われてもらう巴旦杏
かき氷通俗小説五頁目
気がつけば締め切り前夜麦茶飲む
電柱も郵便ポストも溽暑なり
ドライブに付き合っている雲の峰
握りやすき胡瓜を捌く昼となる
肉体という箱の重さ夏の夜
夕立やオルゴール多き祖父の家
人生に矢印はなしバナナバナナ買う
素麺や四年ぶりの会食だ
しゃれこうべだったのだろうか星涼し
探偵になって推理だ三尺寝
ビルも犬小屋も花屋も熱帯夜
夜涼みや胎児がジャンプし始める
夕立や花瓶と御猪口と釜と鍋
昼寝覚水玉模様の犬がいた
風鈴や剃り忘れてやった産毛
夜濯ぎの泡の発生音豊か
写真など片付ける昼溽暑なり